あなたの夢は何ですか?




「あなたの夢は何ですか?」

あなたはそう訊かれたらなんと答えますか?
私の大切な友達の夢をお話しします。
彼女は夜に抱いた夢の夢を見ました。

彼女は夢の中では金色の長いさらさらの髪で、
剣を握っていて、宝物を追い求めて戦う海賊でした。
彼女は悪事をはたらき、自由気ままに海をさまよう海賊です。
男のように強い口調で、毎日楽しく笑っています。
でも、夢の中だったとしても、悪人になるコトを望んではいけません。
神様はそう言って
彼女の海賊船「スカイブルー号」にとっても大きいタコを送り込みました。
彼女の海賊船はタコにぐしゃぐしゃに潰されてしまって、
彼女は海に放り出されてしまいました。
彼女はタコが海賊船をぐしゃぐしゃにする所を少し離れた所から見つめていました。
神様はそれでは満足しません。
サメに彼女を襲うようにと命令し、
船の残骸にしがみついている彼女に向かって行かせました。
彼女はそれでも海賊です。
剣をふるってサメと戦おうとしましたが、波にもまれて、
彼女はサメに飲み込まれてしまいそうになりました。
彼女はそれでも逃げ切って、泳ぎ続けました。
やっと着いた無人島で、彼女は涙を流しました。
月明かりが彼女を優しく照らしていました。彼女は思いました。
「どうしてオレはこんなに無力なんだ」
でも、仕方がありません。
タコから見れば彼女と剣はとても小さく、
大きなタコと剣で戦っても、タコは痛くも痒くもありません。
サメだって、海の中で剣を振り回していたとしても、
動きはとてもゆっくりとしていて、カメでもよけられます。
彼女はそれでも泣きました。
「もっともっと強かったら・・・」
彼女は負けず嫌いでした。
誰もそれを負けだとは言いません。
それでも、彼女は海賊として船を守りきれなかったコトを嘆いていました。

神様はそんな彼女の涙を見て心を揺らされました。
神様にだって心はあります。
彼女に悪気はなかったのです。
海賊が悪事を働くものだと彼女が思っていないと、
純粋に彼女が望んでいる夢を壊してはいけない、
彼女から笑顔を奪ってはいけなかったと気がつきました。
だから神様は彼女にプレゼントを用意しました。
それは大きな船でした。
青い帆の、赤いドクロの旗をあげた大きな海賊船でした。
月明かりに照らされた海賊船はとても美しく、
彼女は顔をあげて嬉しそうに笑いました。
彼女の親友もやってきました。
現実の世界で彼女といつもいっしょにいる三人の親友です。
背が高くてのっぽの赤い髪の男の子と
オレンジ色の長い髪の男の子と黒くて長い髪を束ねた女の子の三人です。
三人の親友は彼女を立たせて海賊船に向かって歩き始めました。
彼女はもう泣いてなんかいませんでした。
とても嬉しそうに笑っています。
神様はそんな彼女を見てささやきました。
「仲間と戦い、仲間と笑って生きていけ。
仲間がいればどんなコトも乗り越えていける」
彼女は笑いながら空を見上げました。
太陽が昇りかけています。
海はどんどん太陽と同じ色に染まっていきます。
彼女は笑いました。仲間達も笑いました。
神様は優しく笑いました。
「悪事はいけないコトでも、彼女の夢はいい夢だ」
 彼女は笑って言いました。
「出発だ〜!!! 海の果てまで宝を探しに行くぞ〜!!」
彼女とその仲間達を乗せた船は動き始めました。
彼女が目指す海の果てはドコにあるのでしょうか?
でも大丈夫、彼女には仲間がいます。
助け合って、笑っていける仲間がいます。
旅はまだ始まったばかりです。
これからはずっと、彼女は戦って行かなくちゃいけないでしょう。
でも大丈夫、彼女には仲間がいます。
悪事かもしれないけれど、彼女は幸せです。
彼女達の宝探しの物語はまた今度にしましょう。


今度はあなたに訊きます。

「あなたの夢は何ですか?」



Fine




あとがき

管理人が中学校の家庭科の授業中に作った絵本を小説にしたものです。
確か、めっちゃ頑張ったのにもらえた点数が凄く低かったような気がします。
ちなみにここに出てくる”彼女”は、このサイトに連載中の「スカイブルーのトレジャーハンター」の主人公「桜野太陽」をモデルにしています。
あんまり関係ないですが(笑)







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